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村上春樹の小説の主人公とスペンサーの共通点

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村上春樹の小説の主人公の特徴は、多くの人が想像できるところだと思う。

基本的にはフリーランスで仕事をしているか無職で、争いごとを好まず、ビールが好きで電車によく乗り、スパゲティーやサンドウィッチを作って食べ、外国の小説を読んで外国の映画を見て、主に古いジャズかクラシックを聴いて(たまにレディオヘッドスガシカオを聴いて)、男友達は少なく、女友達(もしくは恋人のような存在)が1人か2人いて、シャツには自分でアイロンをかけ、プールに通い、ごくたまにマクドナルドのビッグマックを食べる(「パン屋再襲撃」)。

 

対して、スペンサーという人物はあまり知られていないと思うので、こちらも説明しておくと、彼はロバート・B・パーカーというアメリカのハードボイルド作家の小説に登場する主人公です。かなり長いシリーズもので、合計40作もある。僕はこのスペンサー・シリーズを読むのをライフワークにしていて、年に1冊くらいのペースで読むことをずっと続けている。今でちょうど折り返し、20作目の『ペイパー・ドール』まで読み終わったところです。

スペンサーの見た目や経歴は、村上春樹の小説の主人公とはまったく似ていない。

ボストン在住の白人で、身長6フィート1インチ(185センチ)、体重200ポンド(91キロ)のがっしりした体格。元へヴィー級のプロボクサーで、鼻を何度も骨折したことがあり、その傷跡が今も残っている。朝鮮戦争にも出兵していた元軍人で、その後は検事局に勤めていたが上司とケンカして退職し、今は私立探偵を営んでいる。

ちなみにスペンサーのスペルはSpencerではなくSpenserで(cではなくs)、昔のイギリスの詩人と同じであることを誇りに思っているらしく、自己紹介のときにいちいちことわりを入れてくる。ファーストネームは明かされていない。

 

ということから、僕の中でこの2人(というのかな)は、わりと別人という位置づけで両方をそれぞれ楽しんでいたのだけど、あるときふと、もしかしてけっこう共通点があるんじゃない? と思ってちょっと考えてみた。するとけっこうありました。

まずスペンサーもビールが好きでよく飲む(まあアメリカ人なので)。実はけっこうインテリで、詩や小説もよく読む(『グレート・ギャツビー』を読むシーンが何度か出てきた)。毎朝ジョギングを欠かさず、ジムにも通っている(これは仕事柄、暴力で解決することも多いため)。友達はそれほど多くなく、仕事でパートナーを組んだりいっしょに食事をしたりするのは相棒のホークだけ(黒人で同じくマッチョ。スキンヘッドで、ピンクのスーツを着こなす謎のオシャレさん)。それも毎回出てくるわけではなく、ひとりで事件を解決することのほうが多い。あとはひとり暮らしをしていて、料理が好きで凝った料理をよく作る。いちおう決まった恋人に心理カウンセラーのスーザン(ユダヤ人)がいるが、彼女は料理が苦手なので、料理の担当はいつもスペンサー。でもいわゆるアメリカンフードも好きで、チーズバーガーやステーキもよく食べる。そしてスーザンという恋人がいるのに、毎回ではないが事件にかかわる女性といい感じになったりしちゃう……。

 

ほかにもまだありそうだけど、だいたいこんなところです。そして言うまでもなく、彼らの共通点は僕が理想とする男性像とかなりのところまで重なっている。もちろん偶然でもなんでもなく、僕が彼らから影響を受けているだけなんですけど。

これはこれでなかなか問題がありそうな人物造形だけど、村上龍の小説に出てくる人たち(ドラッグをキメたり高級コールガールを何人も囲ったり)に影響を受けるよりはマシだよな、と自分を慰めてみたりする今日この頃です。